◆平成27年から相続増税◆
相続税は、財産額から基礎控除額を差し引いた課税遺産についてかかります。
基礎控除額は、「5,000万円+1,000万円×法定相続人」でしたが、平成27年から6割に減額されました。
仮に3人に相続する場合、この基礎控除額が8,000万円から4,800万円に減少することになりました。
言い換えれば、8,000万円までは相続税がかからなかったものが、4,800万円以上の場合に相続税がかかるようになりました。
財産を相続した時の税金
相続税の課税対象となる課税遺産総額の計算 |
① 相続や遺贈によって取得した財産(遺産総額)の価額と、相続精算課税の適用を受ける財産の価額を合計します。
② ①から債務、葬式費用、非課税財産を差し引いて、遺産額を算出します。
③ 遺産額に相続開始前3年以内の暦年課税にかかる贈与財産の価額を加算して、正味の遺産総額を算出します。
④ ③から基礎控除額を差し引いて、課税遺産総額算出します。この場合、正味の遺産額が基礎控除額を超えない場合には、相続税はかかりません。
◎課税遺産総額の計算
遺産総額+相続時精算課税の適用を受ける贈与財産 |
遺 産 額 | 非課税財産+葬式費用+債務 |
正味の遺産額=遺産額+相続開始前3年以内の贈与財産 |
課税遺産総額 | 基礎控除額 |
基礎控除額=3,000万円+600万円×法定相続人の数
(注)被相続人に養子がいる場合、法定相続人の数に含める養子の数は、実子がいるときは1人(実子がいないときは2人)までとなります。「相続税の総額」の計算においても同じ。
非課税財産
① 墓所、仏壇、祭具など
② 国や地方公共団体、特定の公益法人に寄付した財産
③ 生命保険金のうち次の額まで
500万円×法定相続人の数
④ 死亡退職金のうち次の額まで
500万円×法定相続人の数
相続税の計算
① 課税遺産総額を法定相続分どおりに取得したものと仮定して、それに税率を適用して各法定相続人別に税額を計算します。
② ①の税額を合計したものが相続税の総額です。
③ ②の相続税の総額を、各相続人、受遺者及び相続時精算課税を適用した実際に取得した正味の遺産額の割合に応じて案分します。
④ ③から配偶者の税額軽減ほか、各種の税額控除を差し引いて、実際に収める税額を計算します。
正味の遺産額が8,000万円で、妻と子供2人が法定相続分どおりに相続した場合
8,000万円ー(3,000万円+600万円×3人)=3,200万円(課税遺産総額)
【課税遺産額を法定相続分で案分】
妻 | 子 | 子 |
1/2(1,600万円) | 1/2×1/2(800万円) | 1/2×1/2(800万円) |
相続税額は、190万円 | 相続税額は、80万円 | 相続税額は、80万円 |
【相続税の速算表】
法定相続分に応ずる取得金額 | 税率 | 控除額 |
1,000万円以下 | 10% | ー |
3,000万円以下 | 15% | 50万円 |
5,000万円以下 | 20% | 200万円 |
1億円以下 | 30% | 700万円 |
2億円以下 | 40% | 1,700万円 |
3億円以下 | 45% | 2,700万円 |
6億円以下 | 50% | 4,200万円 |
6億円超 | 55% | 7,200万円 |
相続税の総額=190万円+80万円+80万円=350万円
妻(1/2)175万円 | 子(1/4)87.5万円 | 子(1/4)87.5万円 |
配偶者の税額軽減(配偶者控除)=▲175万円
配偶者が遺産分割や遺贈により実際に取得した正味の遺産額が1億6,000万円までか、配偶者の法定相続分相当額までであれば、配偶者に相続税はかかりません。
【実際に収める税金】
妻0円 | 子87.5万円 | 子87.5万円 |
税額から控除されるもの
(未成年者控除)
相続人が20さん未満の方の場合は、20歳に達するまでの年数1年につき10万円が控除されます。
(障害者控除)
相続人が障害者の場合は、85歳に達するまでの年数1年につき10万円(特別障害者の場合は20万円)が控除されます。
(暦年課税にかかる贈与税額控除)
正味の遺産額に加算された「相続開始前3年以内の贈与財産」の価額に対する贈与税額が控除されます。
(相続時精算課税にかかる贈与税額控除)
遺産総額に加算された「相続時精算課税の適用を受ける贈与財産」の価額に対する贈与税額が控除されます。
なお、控除しきれない金額がある場合には、申告をすることにより還付を受けることができます。