税抜き表示 2年半延長 政府・与党、消費増税延期で

日本経済新聞 朝刊 政治(4ページ)
2016/7/27 3:30
 政府・与党は26日、スーパーなどでの店頭で税抜きでの価格表示を認める特例を2年半延長する方針を固めた。本来は税額を含めた総額での表示義務があり、2018年9月末で特例期限を迎える予定だった。消費税率10%への引き上げが2年半延期になったことを踏まえ、同期間延長する。
 価格表示を巡ってはスーパー業界に「総額表示に戻れば、見た目の価格が大幅に上がり消費が冷え込む」との懸念があった。税抜き表示を特例で認める「消費税転嫁対策特別措置法」の適用期限を延長する。同法は大企業による下請け業者への買いたたきや「消費税還元セール」などと銘打った販売促進の表示を禁じている。円滑に価格転嫁を促す狙いがある。
 消費増税の延期に合わせ、消費税の軽減税率制度も2年半延期する。事業者が取引する商品ごとに税率を記録するインボイス制度も21年4月の導入時期を2年半遅らせる。

富裕層、修正申告相次ぐ 課税逃れ対策の「国外財産調書」 パナマ文書で厳しい目

日本経済新聞 朝刊 社会1(30ページ)
2016/7/24 3:30

 パナマ文書問題などをきっかけに日本国内でも富裕層の租税回避に厳しい目が向けられている。2014年から5千万円を超える海外資産には「国外財産調書」の提出が義務付けられ、富裕層の修正申告も相次ぐ。ただ海外に日本の調査権は直接は及ばないため、国税当局は日本人が海外に保有する資産の全体像を把握しきれていない。

5千万円を超える海外資産について提出が義務付けられている「国外財産調書」
 「実はスイスに数億円の株などがある。国外財産調書のことは知っていたが、これまで資産を申告せず調書を提出してなかった」。東京都内の税理士(57)の事務所で、相談に訪れた50代の男性経営者が神妙な面持ちで切り出した。

 この税理士によると、経営者は20年以上前から海外で資産を運用し、規模は年々拡大。最近では海外の資産分だけで年間100万円前後の所得があったという。相談後、経営者はすぐに修正申告の手続きを取った。

 大手税理士法人の山田&パートナーズによると、同法人に寄せられる海外資産に関連する相談や修正申告の件数は、国外財産調書の導入前は年間10件程度だったが、導入後の14年以降は年間50件程度まで急増している。辻・本郷税理士法人も「海外資産に関連した相談件数は2~3割増えている」という。

 野村総合研究所の調査では、2013年時点で純金融資産(国内外の保有資産の合計から負債を差し引いた値)が1億円以上の富裕層は約101万世帯と推計されている。

 一方、国外財産調書を提出している人は約8千人(15年提出分)。個人の税務に詳しい税理士は「富裕層の厚みから考えれば、提出義務を果たしていない人の方が多いのではないか」と指摘する。「海外財産なら課税の網から逃れられる」との意識を持つ人も少なくないとみられる。別の税理士は「『無申告の海外資産を保有している』と相談に来た人に修正申告を勧めたら、二度と来なかったケースもあった」と話す。

 国税庁は実際にどれくらいの人が5千万円を超える財産を海外に持っているのか正確には把握していない。調査・徴収権は海外には及ばず、金融機関の口座を直接、調べることなどはできない。同庁幹部は「送金や入金記録などから海外資産の保有状況を地道に調べるしかない」と話す。

 各国とは租税条約による情報交換もしているが、別の同庁幹部は「税収の確保は国家権力そのもの。当事国の徴税権と対立し、簡単には協力してもらえないケースもある」と明かす。

 海外資産を使った課税逃れが横行すれば、「富の再分配」という税制の機能を損ないかねない。青山学院大学の三木義一学長(租税法)は「金融取引に対して課税するなど、富裕層に一定の負担を求める新たな制度も検討すべきだ」と指摘している。

「東芝、監査法人提訴を」 会計不祥事巡り

日本経済新聞 朝刊 社会2(39ページ)
2016/7/20 3:30
 東芝の会計不祥事を巡り、個人株主が19日、東芝に対し会計監査を担当した新日本監査法人の責任を問うため、約115億円の損害賠償請求訴訟を起こすよう求める書面を送付した。到達後60日以内に東芝が提訴しない場合、株主代表訴訟を東京地裁に起こす方針。

 提訴請求書を送ったのは大阪府内の40代男性。代理人を務める「株主の権利弁護団」(大阪)によると、監査法人への株主代表訴訟は異例という。

 株主側によると、新日本は利益水増しなどを監査で見つけることができたのに、東芝の役員に説明を求めるなど日本公認会計士協会が定める指針に沿った対応をせず、会計不祥事を見逃したとしている。東芝が納付した課徴金約73億円や新日本に支払った報酬約30億円などを合わせた約115億円を請求額とした。

 金融庁は昨年12月、新日本に3カ月の新規業務の停止を命令したほか、今年1月には約21億円の課徴金の納付を命じた。

 東芝は2008年度以降の決算で、パソコン、インフラ工事、半導体事業などで損失計上の先送りを繰り返し、利益修正額は総額2248億円に上った。

 東芝や新日本監査法人は「書面の内容を確認できておらず、コメントは差し控えたい」などとしている。

会社員・公務員向け経費節税 利用者減る

日本経済新聞 朝刊 政治(4ページ)
2016/7/12 3:30
 会社員や公務員が仕事の必要な経費として申告すれば所得税を減らせる「特定支出控除」の利用者が減少している。国税庁によると、2015年度の利用者は約1800人と14年度から約200人減った。自営業者に比べて経費の範囲が狭いとの不満から13年度に制度を拡充して以降、初めての減少だ。依然として制度の使い勝手が悪いとの指摘がある。

 特定控除は研修費や交通費などの経費を収入から差し引くことで税負担を軽くできる仕組みだ。会社員には年収に応じて65万~230万円を所得から差し引き税金を軽くできる「給与所得控除」がある。

 13年度から新たに図書費や衣服費、交際費にも対象を拡大。12年度の利用者は6人だったが13年度に1430人に増えた。さらに利用者が増えるとの見方があったが、「会社からの証明書をもらうなど手間が多い」(都内の税理士)ことなどから利用を断念する人が多いという。

 1800人でも約4000万人いる源泉徴収の給与所得者の0.004%程度しか使っていない。「自営業者は自動車やパソコンなどを仕事に少しでも使っていれば経費として認められるのにおかしい」といった会社員の不満は解消されなさそうだ。

「出羽桜」が最優秀賞 IWCの日本酒部門

日本経済新聞 夕刊 社会1(12ページ)
2016/7/8 15:30
 【ロンドン=共同】世界最大級のワイン品評会、インターナショナル・ワイン・チャレンジ(IWC)は7日、日本酒部門の今年の最優秀賞「チャンピオン・サケ」に出羽桜酒造(山形県天童市)の純米酒「出羽桜 出羽の里」を選び、ロンドンでの授賞式で発表した。

 出羽桜酒造の酒がチャンピオンに選ばれるのは2008年の受賞以来、2度目。

清水建設、20億円申告漏れ 国税局指摘 5億円追徴課税か

日本経済新聞 朝刊 社会2(39ページ)
2016/7/6 3:30
 ゼネコン大手の清水建設が東京国税局の税務調査を受け、不適切な経費計上や元社員の不正に関連し、2015年3月期までの5年間で約20億円の申告漏れを指摘されていたことが5日分かった。過少申告加算税を含めた追徴税額は約5億円とみられる。

 関係者によると、同社は建設工事の売り上げや費用について時期を誤って計上するなどしていた。
 同社をめぐっては発注担当の元社員が下請け会社に代金を水増しして請求させ、清水建設が支払った代金の一部を私的に流用していたことが発覚している。正規の代金より多い経費が発生していたとして、東京国税局は元社員による流用分も申告漏れと認定した。清水建設は「更正通知を受領しており、通知内容に従う」とコメントしている。

遺産相続 手続き簡素化 戸籍情報、証明書1通に 法務省

日本経済新聞 朝刊 1面(1ページ)
2016/7/6 3:30
 法務省は5日、遺産相続(総合2面きょうのことば)の手続きを簡素化するため、相続人全員の氏名や本籍地などの戸籍関係の情報が記載された証明書を来春から発行すると発表した。これまでは不動産や預金などを相続する場合、地方の法務局や銀行にそれぞれ全員分の戸籍関連の書類を提出しなくてはならなかった。今後は必要書類を一度集めて法務局に提出すれば、証明書1通で済む。(関連記事経済面に)

 法務省は年内にパブリックコメント(意見公募)を実施した上で、今年度中に不動産登記規則を改正し、2017年度の運用開始を目指す。

 新たに導入する簡素化に向けた制度では、相続が発生した場合、まず相続人の一人が全員分の本籍や住所、生年月日などを記載した申請書類をつくり、相続人全員分の戸籍と亡くなった人の戸籍をそろえて法務局に提出する。

 この書類をもとに法務局が証明書をつくる。書類を精査し、内容を確認すれば、公的な証明書として保管する。相続人には証明書の「写し」が交付される。
 証明書は別の法務局でも使えるため、地方の不動産などを相続する場合、負担軽減につながる。法務省は各金融機関でも相続申請時に証明書を活用できるよう調整する。

遺産相続 手続き簡素化 戸籍情報、証明書1通に

日本経済新聞 朝刊 1面(1ページ)
2016/7/6 3:30
 法務省は5日、遺産相続(総合2面きょうのことば)の手続きを簡素化するため、相続人全員の氏名や本籍地などの戸籍関係の情報が記載された証明書を来春から発行すると発表した。これまでは不動産や預金などを相続する場合、地方の法務局や銀行にそれぞれ全員分の戸籍関連の書類を提出しなくてはならなかった。今後は必要書類を一度集めて法務局に提出すれば、証明書1通で済む。(関連記事経済面に)

 法務省は年内にパブリックコメント(意見公募)を実施した上で、今年度中に不動産登記規則を改正し、2017年度の運用開始を目指す。

 新たに導入する簡素化に向けた制度では、相続が発生した場合、まず相続人の一人が全員分の本籍や住所、生年月日などを記載した申請書類をつくり、相続人全員分の戸籍と亡くなった人の戸籍をそろえて法務局に提出する。

 この書類をもとに法務局が証明書をつくる。書類を精査し、内容を確認すれば、公的な証明書として保管する。相続人には証明書の「写し」が交付される。

 証明書は別の法務局でも使えるため、地方の不動産などを相続する場合、負担軽減につながる。法務省は各金融機関でも相続申請時に証明書を活用できるよう調整する。

長く連れ添えば相続多く 配偶者の法定分3分の2に 介護・看護者に請求権 法制審が中間試案

日本経済新聞 朝刊 社会1(38ページ)
2016/6/22 3:30
 民法の相続分野の見直しを議論する法制審議会(法相の諮問機関)の部会は21日、結婚期間が長期にわたる場合、遺産分割で配偶者の法定相続分を2分の1から3分の2に引き上げることなどを柱とした中間試案をまとめた。子の配偶者など現行法では相続の対象にならない人でも、看病や介護をすれば相続人に金銭を請求できる仕組みも盛り込まれた。


 配偶者の相続分の引き上げは高齢化で相続時の年齢が高くなった妻らの生活を保護するなどの狙いがある。ただ部会でも異論があるため、議論がまとまるかどうかは不透明だ。法務省は来年中に民法改正案を国会に提出する方針。

 中間試案は配偶者の相続財産について(1)結婚して一定期間(20年または30年)過ぎたケースでは、法定相続分を引き上げる(2)結婚後に所有財産が一定以上増えた場合、その割合に応じて増やす――の2案を提示した。

 法務省によると、配偶者の法定相続分は1980年に3分の1から2分の1に引き上げられて以来、変更されていない。

 また亡くなった夫が遺言で自宅を第三者に贈与しても、妻が住み続けられる「居住権」を新設。現行法では退去を求められる恐れがあり、試案は一定期間または亡くなるまで権利を与える案を示している。

 相続人以外の人が介護や看病で献身的な貢献をした場合、相続人に金銭を請求できる仕組みも盛り込まれた。現行では、例えば長男の妻が介護した義父母の財産を相続する権利はないが、妻が相続人である長男らに対して金銭の請求をできるようにする。金額が協議で決まらない場合は家庭裁判所が決める。

 ただこの仕組みでは亡くなった人に関わる全ての人の貢献を考慮しなければならない。請求が多発し相続の紛争が拡大、長期化する恐れがあるとの指摘もある。

 遺言制度の利用を促進するため、全文を自筆で作成する「自筆証書遺言」の形式を緩和。財産目録はパソコンで作ることができるようにする。

 法務省は7~9月にパブリックコメント(意見公募)を実施する。

個人型の確定拠出年金、法改正で941万人希望 野村総研調べ

日本経済新聞 朝刊 投資情報(15ページ)
2016/6/22 3:30
 野村総合研究所は個人型の確定拠出年金(DC)について、法改正により新たに対象となる公務員や主婦など941万人が加入を希望すると試算した。ネットを通じてアンケート調査を1万1732人に実施した。政府は個人型DCの対象者を来年1月から拡大する見通しで、新たなDC拠出額は年間で1兆円程度に達すると同社は推計している。

 個人型DCは加入者が金融機関を選び、自分で毎月の掛け金を投資信託などで運用する。現在は自営業者や企業年金のない会社員しか加入できないが、来年から企業年金のある会社員や公務員、主婦など約2600万人が新たに対象となる。

 アンケートの結果、公務員では対象者のうち25%、会社員は21%、専業主婦は13%が個人型DCへの加入を希望すると試算。それぞれの対象者数から新規利用者の見込みを導いた。

 個人型DCでは加入手続きに1~2カ月程度かかると言われる。アンケートでは全体の7割が1カ月以内に手続きが完了すると考えており、手続きの煩雑さが意識されれば加入者数が伸び悩む可能性もある。