悩める相続 子がない夫婦、財産分け心配

もしものホーム法務 悩める相続 子がない夫婦、財産分け心配
兄弟にも権利、遺言が重要
2015/4/8 3:30 朝刊
 高齢のA子さんの夫は、先代から引き継いだ多額の財産を持つが、夫婦に子どもはいない。「子どものいない夫婦は遺産相続でもめ事に巻き込まれやすい」。そんな話を、先日のぞいた金融機関の相続セミナーで聞いた。争いの芽になりうるのは、A子さんの場合、夫の弟の存在だ。義弟との争いは避けたいけれど、具体的にどうすればいいのかわからず不安だ。 

 民法は、遺言が残されていなかった場合を想定し、財産を相続する人(法定相続人)の順位や、それぞれの割合(法定相続分)を定めています。相続人みんなで協議して合意すればこれに従う必要はありませんが、財産分けについての重要な判断材料になります。
 例えば夫婦のうちの夫が先に亡くなった場合、誰が法定相続人になるかは家族構成によります(図)。まず子どもがいる場合は単純で、法定相続人は妻と子どもだけです。法定相続分は妻が2分の1で、残りを子どもの数で割ります。
 子どもがいない場合は複雑です。亡くなった夫の親が存命していたり、兄弟姉妹がいたりすると、その人たちにも法定相続人としての権利があるからです。兄弟姉妹がすでに亡くなっていても、おいやめいがいれば、その人たちも法定相続人になります。相続人の数が多くなればなるほど財産分けについて調整するのはより難しくなります。
 A子さんの例で夫が遺言を残さないとして考えてみましょう。法定相続分はA子さんが4分の3、義理の弟が4分の1です。これを参考に、自宅の不動産や預貯金などを具体的にどう分けるか、A子さんは義弟と決めなければなりません。A子さんはふだん義弟とあまり付き合いがありません。遺産分割協議で顔を合わせるとなれば、それだけで憂鬱になるでしょう。
 これを避けるために重要なのが遺言です。夫に頼んで、全財産をA子さんが受け取れるよう書いてもらえば、義弟と話し合う必要はなくなります。兄弟姉妹には、遺言にかかわらず相続できる「遺留分」という権利がないからです。A子さんは義弟の存在を気にすることなく、遺言通り全財産を相続できます。
 A子さんの場合、もうひとつ考慮すべき点があります。A子さんが将来死亡したときに起きる相続です。A子さんに妹がいると仮定しましょう。法定相続分の考え方によると、A子さんの死後、妹が全財産を受け取る権利があります。
 この点はA子さんの義弟には不満かもしれません。財産はもともとは夫の親、つまり、義弟の親が築いたものだからです。弁護士の小堀球美子さんは「夫だけではなくA子さん自身も遺言を書き、最終的に義弟に全財産を相続させるようにしておくのも選択肢の一つ」と話します。子どものいない夫婦はお互いの兄弟姉妹との関係を踏まえ、遺言を書くことが重要です。

 

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