企業の節税策に報告義務 政府検討

企業の節税策に報告義務 政府検討
税理士・コンサルに 税逃れ防止へ罰金も
2015/5/26 3:30 朝刊
 政府は税理士に対し、企業に提供している節税策の報告を2017年度にも義務づける検討に入った。大きな税収減につながる節税を対象にし、報告を拒む場合は罰金も検討する。過度な節税へのけん制効果を見込み、税収減や企業間の不公平を和らげる。企業の租税回避の防止へ国際的な枠組みが整備されつつあることを踏まえ、米欧などと足並みをそろえる。

 与党の税制改正の議論を経て、早ければ17年の通常国会で関連法を改正する。節税策を作る税理士やコンサルティング会社に加え、節税策の提供を受ける企業も報告義務づけの対象になる可能性がある。税理士には顧客企業のリストの提出を求めることも検討する。
 米英や韓国などはすでに当局への報告を義務づけている。日米欧などが加盟する経済協力開発機構(OECD)は今年9月にまとめる企業の節税への対抗策のなかで、日本などにも義務づけを呼びかける見通しだ。主要7カ国(G7)が27日から独ドレスデンで開く財務相・中央銀行総裁会議でも、企業の租税回避をどう防ぐかが主要な論点になる。
 政府は今後、どんな節税策を報告の対象にするかを詰める。節税策で代表的なのがグループ会社から損失を移したり、航空機のリース費用を複数の会社で分けたりして利益を意図的に減らす損失取引という手法だ。
 1年間で億円単位の損失を意図的に作り出すような節税策が報告の対象になりそうだ。節税策を提供する税理士に企業が割高な報酬を支払っていたり、企業が提供を受けた節税策を他社に伝えないよう守秘義務を負っていたりする場合にも報告を求める見通しだ。
 1984年に各国に先駆けて報告義務を入れた米国では、年間1千万ドル(約12億円)以上の損失を出す取引などを対象にしている。カナダでは資産を取得してから4年間で実費以上の損失を出した取引などが対象だ。英国では1千万ポンド(約19億円)以上の価値の工場や機械を使ったリース取引などを対象にしている。
 税理士が企業から25万ドル(約3千万円)を超える報酬を得た場合を報告対象にする米国のように、税理士の契約内容に着目する方法もある。日本政府は先行する国々を参考に義務づけの金額基準などを設ける見通しだ。
 罰金も海外を参考にする。報告しなかった場合、米国は5万ドル、英国は最大100万ポンドを科している。
 米スターバックスの英国法人によるスイスやオランダの関連会社を使った節税のように、手の込んだ節税策が世界的に増えている。日本でも国税庁が関知しない節税策を使う企業が増えつつあるとみられ、報告を求めて把握できるようにする。
 節税策は違法ではないが法制度をかいくぐる脱法的な手法が多く、政府は報告を受けた節税策の情報をもとに法制度を手直しする。法制度の不備が解消されれば、手の込んだ節税策を防止する効果も見込める。

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