海外臓器移植、壁高く

海外臓器移植、壁高く
受け入れ国減少・円安も重荷 膨らむ費用、家族に焦り
2015/6/19 15:30 夕刊
 国内での手術件数が伸び悩む子供の臓器移植。提供者(ドナー)が見つからず、海外での移植を望む家族が費用の高騰に苦しんでいる。億単位に上る費用は外国人の臓器移植受け入れをやめる国が増えたことや、急激に進んだ円安でさらに膨らんでいる。資金不足で渡航を延期せざるを得ないケースもあり、医師らは国内での移植が増える環境の整備を訴える。

 米国での心臓移植を目指し、都内で入院中の金沢佳代ちゃん=かよちゃんを救う会提供
 心臓の難病「拘束型心筋症」を患う金沢佳代ちゃん(1)=千葉県流山市=の両親は米国での心臓移植手術を希望している。心臓の筋肉が硬くなり心不全を起こす原因不明の病気で、入院する東京女子医大病院(東京・新宿)によると、移植以外の治療方法はない。
 両親やかよちゃんを救う会(http://kayo-chan.com)などは支援募金を呼びかけ、これまでに約1億2000万円が寄せられたが、まだ目標の半分ほどという。
 移植患者を支援するNPO法人「日本移植支援協会」(東京・渋谷)によると、同協会が発足した2000年に6千万円程度だった米国での心臓移植の手術費は、年々高くなる傾向にある。現在ほかにも子供数人が海外移植を希望し、準備を進めているという。
 国際移植学会は08年に臓器売買を減らすことを目的に自国での移植を求める共同声明を発表。ドイツなどでは日本人患者が移植を受けられなくなった。関係者は「米国以外での受け入れが減っていることが費用に影響している」とみる。
 加えて資金確保を難しくしているのが最近の円安だ。5年前に1ドル=90円台だった為替レートが最近は同120円台と、大きく変動。佳代ちゃんの両親らは4月半ばに募金を始めた時点で手術代185万ドルのほか渡航、滞在費用を1ドル=120円で見積もったが、直近のレート(同約123円)だと資金はさらに500万円程度膨らみ、総額は2億5千万円に上る。
 佳代ちゃんは当初目指した6月末の渡米を延期。入院先で24時間点滴を受けて準備が整うのを待つが、渡航に耐えられないほど容体が悪くなる恐れがある。父親、輝宏さん(38)は「時間との闘い。少しでも費用が膨らめばそれだけ移植は遠のく」と焦りを隠せない。
 日本移植学会のまとめでは、1997年の臓器移植法施行から14年7月までに国内で207人、海外で160人が心臓移植手術を受けた。13年末までに18歳未満の130人が海外での心臓移植を希望し、82人が実現した。
 日本臓器移植ネットワークによると、今月1日時点で心臓移植の待機登録をしている患者は成人を含めて400人。15歳未満は22人いる。
 10年の改正臓器移植法施行で、15歳未満でも家族の承諾があれば脳死による臓器提供ができるようになったが、これまでに心臓などを提供したのは7人にとどまる。「外国に比べてドナー数が少なく待機日数も長い。法改正後も海外での移植に望みをつながざるを得ない」(同ネットワーク)
 日本移植支援協会の高橋和子理事長は「費用が億単位と知りあきらめる患者も多い。渡航を目指す負担は重く、多くの家族が苦しい選択を迫られている」と話している。

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