長く連れ添えば相続多く 配偶者の法定分3分の2に 介護・看護者に請求権 法制審が中間試案

日本経済新聞 朝刊 社会1(38ページ)
2016/6/22 3:30
 民法の相続分野の見直しを議論する法制審議会(法相の諮問機関)の部会は21日、結婚期間が長期にわたる場合、遺産分割で配偶者の法定相続分を2分の1から3分の2に引き上げることなどを柱とした中間試案をまとめた。子の配偶者など現行法では相続の対象にならない人でも、看病や介護をすれば相続人に金銭を請求できる仕組みも盛り込まれた。


 配偶者の相続分の引き上げは高齢化で相続時の年齢が高くなった妻らの生活を保護するなどの狙いがある。ただ部会でも異論があるため、議論がまとまるかどうかは不透明だ。法務省は来年中に民法改正案を国会に提出する方針。

 中間試案は配偶者の相続財産について(1)結婚して一定期間(20年または30年)過ぎたケースでは、法定相続分を引き上げる(2)結婚後に所有財産が一定以上増えた場合、その割合に応じて増やす――の2案を提示した。

 法務省によると、配偶者の法定相続分は1980年に3分の1から2分の1に引き上げられて以来、変更されていない。

 また亡くなった夫が遺言で自宅を第三者に贈与しても、妻が住み続けられる「居住権」を新設。現行法では退去を求められる恐れがあり、試案は一定期間または亡くなるまで権利を与える案を示している。

 相続人以外の人が介護や看病で献身的な貢献をした場合、相続人に金銭を請求できる仕組みも盛り込まれた。現行では、例えば長男の妻が介護した義父母の財産を相続する権利はないが、妻が相続人である長男らに対して金銭の請求をできるようにする。金額が協議で決まらない場合は家庭裁判所が決める。

 ただこの仕組みでは亡くなった人に関わる全ての人の貢献を考慮しなければならない。請求が多発し相続の紛争が拡大、長期化する恐れがあるとの指摘もある。

 遺言制度の利用を促進するため、全文を自筆で作成する「自筆証書遺言」の形式を緩和。財産目録はパソコンで作ることができるようにする。

 法務省は7~9月にパブリックコメント(意見公募)を実施する。

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