A 他人の建物について行った内部造作については、その内部造作が建物付属設備に該当する場合を除き、旧定額法又は定額法により減価償却を行うこととなります。
なお、この場合の耐用年数については、耐用年数の適用等に関する取扱通達1-1-3【他人の建物に対する造作の耐用年数】により合理的に見積もった年数によることとなります。
1 賃借建物に内部造作等をした場合の耐用年数
賃借建物について行った内部造作等の耐用年数は、その建物の耐用年数、造作の種類・用途・使用材質等を勘案して合理的に見積もった年数によります。
ただし、賃借期間の定めがあり、その賃借期間が更新できないもので、かつ、有益費の請求又は買取請求することができないものについては、その賃借期間を耐用年数として償却することが認められます。(耐通1-1-3)
【造作の耐用年数の計算例】
① 造作の費用 | ②使用可能期間 |
年間償却額 (①/②) |
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ガラス戸、ショーウインド | 240,000円 | 8年 | 30,000円 |
その他の木造内装部分 | 100,000円 | 5年 | 20,000円 |
床防水タイル工事 | 300,000円 | 10年 | 30,000円 |
合 計 | 640,000円 | 80,000円 |
耐用年数の計算は、 640,000円÷80,000円=8年となります。
2 賃借建物に内部造作等をした場合の減価償却の方法
自己の建物について行った内部造作については、その建物の耐用年数を適用します(耐通1-2-3)が、賃借建物について行った内部造作についても、建物付属設備に該当するものを除き、建物に含まれ、合理的に見積もった耐用年数で償却することとされています。(耐通1-1-3)
なお、他人の建物について行った内部造作については、建物の減価償却方法が適用されますので、その内部造作が平成10年4月1日以後に取得されたものである場合は、旧定額法又は定額法に限られます。
3 建物に資本的支出を行った場合の減価償却の方法
建物について支出した資本的支出の償却は、その建物の償却方法により償却が行われることとされていますので、平成10年3月31日以前に取得した建物である場合は、従来どおり採用していた定率法又は定額法の方法で償却することになります。
また、建物が平成10年4月1日以後に取得したものである場合には、それ以後に支出した資本的支出については定額法で償却します。(法令48、所令120)
なお、建物の増築や増階は建物の取得に当たり資本的支出となります。(法基通7-8-1、所基通37-10)