(Update:H28.7.8)
法人が行う消費税の経理処理については、「税込経理方式」と「税抜経理方式」とがありますが、そのいずれの方式を適用するかについては法人の任意とされています。
売上計上漏れ648円(内消費税48円)を修正する場合の「税込経理方式」と「税抜経理方式」との経理処理は、次のようになります。
税抜経理と税込経理比較 | ||
区分 | 税抜経理 | 税込経理 |
① 売上に係る消費税等 | 仮受消費税等として経理する。 | 売上又は収益として経理する。 |
② 仕入に係る消費税等 | 仮払消費税等として経理する。 | 仕入、資産、経費に含めて経理する。 |
③ 納付した消費税等 | 仮受消費税等と仮払消費税等を精算する形で経理する。(仮受消費税等ー仮払消費税等)を納付するので、理論的には損益は発生しないが、実務的には簡易課税を選択した場合や税抜経理の段階での端数部分について誤差が生じることが多い | 租税公課として経費科目で経理する。 |
④ 還付を受けた場合 | 仮払消費税等勘定が借方残になっているので、還付段階ではこの勘定に貸方記入してゼロとする。実務的には、納付の場合と同様にぴったりとゼロにはならない。 | 雑収入のような収益科目で受け入れる。 |
⑤ その他 | 消費税等は、原則として利益又は所得計算に関係させない。 | 消費税等は通常の損益計算のシステムの中で処理する。 |
【税抜経理】
★修正内容を仕訳で表現すると
(借)売掛金 648
(貸)売上 600
(貸)仮受消費税 48
(借)仮受消費税 48
(貸)未払消費税 40
(貸)雑収入 8
税抜経理方式を適用している場合においては、仮受消費税額から仮払消費税額を差し引いた消費税額と実際に納付すべき消費税額(還付される消費税)との間に差額が生じます。
この差額については、差額が生じた事業年度の益金又は損金の額に算入します。
【別表四】 | |||
区分 | 総額 | 処分 | |
留保 | 流出 | ||
【加算】 売上計上漏れ |
600 |
648 △48 |
|
雑収入 | 8 | 8 |
【別表五】 | ||||
区分 | 期首 | 当期の増減 | 期末 | |
減 | 増 | |||
売掛金 | 648 | 648 | ||
未払消費税 |
△48 8 |
△40 |
【税抜経理(総額方式)】
★税抜経理方式の中に総額方式(自称?)というものがあります。
修正処理は全て税込金額で処理して、納付(還付)すべき消費税額を加(減)算する方式をいいます。修正内容を仕訳で表現すると
(借)売掛金 648
(貸)売上 648
(借)租税公課 40
(貸)未払消費税 40
上記、税抜経理方式と所得金額に差異はありませんので、煩雑な仮受、仮払消費税の精算に計算に混迷した場合等にお試しください。
【別表四】 | |||
区分 | 総額 | 処分 | |
留保 | 流出 | ||
【加算】 売上計上漏れ |
648 | 648 | |
【減算】 消費税認容 |
40 | 40 |
【別表五】 | ||||
区分 | 期首 | 当期の増減 | 期末 | |
減 | 増 | |||
売掛金 | 648 | 648 | ||
未払消費税 | △40 | △40 |
【税込経理】
★修正内容を仕訳で表現すると
(借)売掛金 648
(貸) 売上 648
税込経理方式を適用している法人における納付すべき消費税額等の損金算入の時期は、原則としてその消費税の申告書が提出された日の属する事業年度とされています。
したがって、修正申告で増減した消費税額等については、現に修正した当期(進行期)の損金となります。
(借)租税公課 40
(貸)現預金 40
【別表四】 | |||
区分 | 総額 | 処分 | |
留保 | 流出 | ||
【加算】 売上計上漏れ |
648 | 648 |
【別表五】 | ||||
区分 | 期首 | 当期の増減 | 期末 | |
減 | 増 | |||
売掛金 | 648 | 648 |