確定申告(消費税)の誤りやすい事例

【 1】 平成20年分において消費税の免税事業者であった個人事業者の平成22年分の納税義務の有無の判定に当たって、売上高に105分の100を乗じて課税売上高を計算している。

 免税事業者の売上には消費税が課されていないので、基準期間である課税期間において免税事業者であった場合の課税資産の譲渡等の対価の額は、その期間中に国内において行った課税資産の譲渡等に伴って収受し、又は収受すべき金銭等の金額の全額となり税抜きの計算(100/105)をする必要はない。(消基通1-4-5)

【 2】 平成22年分における基準期間(平成20年分)の課税売上高の判定の際、事業用資産の譲渡収入を除いている。

 基準期間の課税売上高の判定に当たっては、事業用資産の譲渡収入を含める。
 住宅用として貸し付けていた建物の譲渡についても課税の対象となる。
 なお、土地・建物の一括譲渡の場合、非課税資産の土地と課税資産の建物の価額が合理的に区分されていないときは、譲渡したときの価額の割合で按分することとなる。(消令45③、消基通10-1-5)

【 3】 「消費税課税事業者選択届出書」、「消費税簡易課税制度選択届出書」を郵送により提出した場合の提出日は、税務署に届いた日と考えている。

 「消費税課税事業者選択届出書」、「消費税簡易課税制度選択届出書」についても国税通則法第22条の「納税申告書」と同様に通信日付印により表示された日に提出されたものとみなされる。

【 4】 消費税の課税事業者選択、簡易課税制度選択及び課税期間特例選択届出書等(又はこれらの不適用届出書)をある課税期間から適用するとした場合のその提出すべき期間の末日が日曜日に当たるときには、国税通則法第10条第2項の規定により、当該届出書の提出すべき期間が延長されると考えている。

 消費税の課税事業者選択、簡易課税制度選択及び課税期間特例選択届出書等(又はこれらの不適用届出書)は、当該届出書が提出された日の属する課税期間の翌課税期間(新たに事業を開始した場合には提出日の属する課税期間)から適用することになっており、当該届出書には提出期限がないので、国税通則法第10条第2項の適用はない。
 よって、課税期間の末日が土曜日、日曜日、休日等に当たる場合であっても、提出期間が延長されることはない。

【 5】 被相続人が提出した「消費税課税事業者選択届出書」の効力は、相続人に及ぶと考えている。

 相続人にはその効果は及ばないので、その適用を受けるためには、新たに「消費税課税事業者選択届出書」を提出しなければならない。(消基通1-4-12)
 なお、事業を営んでいない個人が相続により被相続人の事業を継承して新たに事業を開始した場合又は現に事業を営む個人が消費税法第9条第4項≪課税事業者の選択≫の規定を受けていた被相続人の事業を相続により継承した場合において、その事業を開始した日又は相続があった日を含む課税期間から課税事業者となることを選択しようとするときは、当該課税期間中に「消費税課税事業者選択届出書」を提出することとなる。
 また、これらの点は「消費税課税期間特例選択・変更届出書」及び「消費税簡易課税制度選択届出書」も同様である。

【 6】 居住用アパートを譲渡したが、非課税売上としている。

 居住用アパートの賃貸料は非課税売上となるが、居住用アパートの譲渡は、事業用資産の譲渡に該当し課税売上となる。

【 7】 オフィスビルを貸し付けているが、敷地部分の賃貸料を非課税としている。

 ビル等の貸付けに伴う土地の使用は、そのビル等の貸付けに必然的に随伴するものであり、その使用は土地の貸付けに該当しない。(消令8)
 したがって、賃貸借契約において敷地部分の賃貸料を区分して掲載している場合には、その部分を含めた賃貸料全額が建物の賃貸料として課税の対象となる。(消基通6-1-5(注))

【 8】 店舗等併設住宅の賃貸料を非課税としている。

 住宅と店舗等が併設されている建物を一括して貸し付ける場合には、住宅として貸し付けた部分のみが非課税となる。(消基通6-13-5)
 この場合、建物の貸付けに係る対価の額を住宅に係る対価の額と事業用の施設に係る対価の額とに合理的に区分することなる。

【 9】 アパートの賃貸借時に受領した敷金・保証金を課税売上としている。

 居住用建物の貸付けは非課税であるが、この貸付けに係る対価の額には、月極め等の家賃のほか、敷金、保証金、一時金等のうち返還しない部分及び共同住宅における共用部分に係る費用を入居者が応分に負担するいわゆる共益費(住宅の貸付けに含まれないこととされる施設等に係る費用部分を除く。)も含まれる。(消基通6-13-9)

【10】 所得税法上の雑所得に該当する収入をすべて不課税としている。

 消費税法は、国内において事業者が行う「資産の譲渡等」(事業として対価を得て行う資産の譲渡及び貸付並びに役務の提供)を消費税の課税対象としている。(消法4①)
 また、「事業として」とは、「同種の行為を反復、継続かつ独立して行うこと」をいうことから、所得税法上の所得区分が雑所得になるか否かによって消費性の課税関係が影響を受けるものではない。(消基通5-1-1)

【11】 棚卸資産を家事消費した場合、所得税法基本通達39-2≪家事消費等の総収入金額算入の特例≫の取扱いにより、通常の販売価額の70%相当額(仕入価額以上)を記帳の上、同額を事業所得の計算上総収入金額に算入し、所得税の確定申告をしているので、消費税においても同様に、当該70%を相当額を課税売上としなければいけないと考えている。

 棚卸資産を家事消費した場合には、原則として、通常他に販売する価格を課税売上としなければならない(消法4④一)が、消費税法基本通達10-1-18≪自家消費等における対価≫では、棚卸資産を家事消費した場合、通常の販売価額の50%相当額及び仕入価額以上の金額を課税売上として消費税の確定申告をすることを認めている。
 そして、この取り扱いは、家事消費として記帳した金額及び家事消費の事業所得の収入計上額に何ら影響されることなく適用されるものである。
 よって、棚卸資産を家事消費した場合、所得税において、通常の販売価額の70%相当額(仕入価額以上)を事業所得の計算上総収入金額に算入し、消費税において、通常の販売価額の50%相当額及び仕入価額以上の金額を課税売上として、それぞれ確定申告をすることができる。

【12】 店舗賃貸借契約において、賃借人が当該賃貸借契約を中途解約した場合には、賃貸人は預かり保証金等の一部又は全部を没収する旨の約定がされており、中途解約があったため、当該約定に従い賃貸人は、預かり保証金等の一部又は全部を没収したが、これは収益補償であるとして不課税取引としている。

 不動産賃貸借契約等の締結に当たって受ける保証金等のうち、当該賃貸借契約等の終了前における一定の事由(中途解約等)の発生により返還しないこととなるものは、権利の設定の対価であり資産の譲渡等に該当する。(消基通5-4-3)
 事例の場合は、店舗の賃貸借に係る設定の対価であり課税取引となり、当該課税資産の譲渡等の時期は、中途解約した日の属する課税期間となる。(消基通9-1-23)

【13】 営業収入のみを課税売上として、不動産収入(業務的規模)を課税売上に計上せず消費税を算出している。

 業務的規模の不動産収入についても、事業として対価を得て行う資産の譲渡等の対価として課税の対象となる。
 マンション1戸(ただし、居住用は除く。)の賃貸であっても、反復、継続、独立して行われていれば「事業として」に該当する。(消基通5-1-1)

【14】 事業用車両を売却(下取)した場合に課税売上の計上していない。

 資産の譲渡等には、事業用資産の売却など、その性質上事業に付随して対価を得て行われる資産の譲渡等も含まれる。(消法2①八、4①、消令2③、消基通5-1-7(3))

【15】 接待交際費のうちに、その使途が明らかでないものや贈答用に購入した商品券及びビール券の代金が含まれており、いずれも課税仕入れに計上されている。

 使途が明らかでないものは課税仕入れに該当しないほか、贈答用に購入した商品券やビール券等も課税仕入れに該当しない。(消法6、別表1四ハ、消令11、消基通11-2-23)

【16】 事業と家事に共用する減価償却資産を取得したとき、それに係る消費税等の全額を控除対象仕入税額としている。

 家事共用資産を取得した場合、その家事使用に係る部分は課税仕入れに該当しない。
 なお、当該資産の課税仕入れに係る支払対価の額は、その資産の使用率又は使用割合等の合理的な基準により計算する。(消基通11-1-4)
 また、家事共用資産を譲渡した場合も、同様の取扱いとなる。(消基通10-1-19)

【17】 従業員の通勤手当について、遠距離通勤により所得税法の非課税限度を超えるため、その一部が給与に該当する場合に、この部分を課税仕入れとしていない。

 通勤手当は、「その通勤に通常必要であると認められる部分の金額」である限り、事例のように所得税法上給与に該当する場合であっても、課税仕入れに係る支払対価になる。(消基通11-2-2)

【18】 免税事業者の前後の課税期間において、棚卸資産に係る仕入控除税額の調整を行っていない。

 免税事業者の前後の課税期間においては、次のとおり棚卸資産に係る仕入税額の調整が必要となる。
 なお、簡易課税制度の適用者には、この調整をする必要はない。(消基通12-6-4)

 

免税事業者となる前の課税期間 → 免税事業者→ → 免税事業者の次の課税期間

 課税事業者が免税事業者となる場合には、免税事業者となる課税期間の直前の課税期間における期末棚卸資産に係る消費税額(その棚卸資産が免税事業者となる課税期間の直前の課税期間の課税仕入れに該当するもののみ)を当該課税期間の課税仕入れの税額から控除する。(消法36⑤)

 

 免税事業者が、新たに課税事業者となる場合には、課税事業者となる課税期間の直前の期間における期末棚卸資産に係る消費税額(その棚卸資産が免税事業者の期間中の課税仕入れに該当するもののみ)を当該課税期間の課税仕入れの税額に加算する。(消法36①)

 

【19】 小売業を営む課税事業者が、事業用の車両を売却したことによる課税売上の事業区分を第二種事業としている。

 事業用固定資産の売却に係る課税売上の事業区分は、第四種事業となる。(消基通13-2-9)

【20】 建設業を営む課税事業者が作業過程で発生した加工くずを売却したことによる課税売上の事業区分を第四種事業としている。

 第三種事業に該当する建設業、製造業等の事業に伴い生じた加工くず、副産物等を譲渡する場合には、第三種事業に該当する。
 なお、第一種事業又は第二種事業を行うものが、その事業から生じた段ボール等の不要物品等(当該事業者が事業の用に供していた固定資産等を除く。)の譲渡を行う場合は、第四種事業に該当するのであるが、当該事業者が当該不要物品等が生じた事業区分に属するものとして処理することも認められる。(消基通13-2-8)

【21】 酒類小売業及び卸売業を営む課税事業者が、特定一事業に係る課税売上高が全体の75%以上を占めるか判定をする際に、ビール券の売上げを含めている。

 75%以上を占めるかを判定する場合は、非課税売上及び免税売上を除くとされている。(消令57③)
 なお、この判定に当たっては、四捨五入等の端数処理を行わない。

【22】 精肉(鮮魚)の小売業を営む課税事業者が焼鳥、ローストチキン(かつおのたたき、焼魚)等の加工をして販売しているが、すべて第二種事業としている。

 商品に「焼く、煮る、揚げる」等の加熱を伴う加工をした場合は第三種事業に該当する。
 なお、「切る、刻む、つぶす、挽く、たれに漬け込む、混ぜ合わせる、こねる、乾かす」等の軽微な加工の場合は第二種又は第一種事業に該当する。

【23】 弁護士、不動産貸付業を営んでいるものが、第四種事業としている。

 不動産業は、平成28年1月1日以降(法人にあっては、平成27年4月1日以後に開始する課税期間)について、第五種事業から新たに設けられた第六種事業となります。 
 なお、従前は、不動産業、運輸、通信業、サービス業(料理飲食業に該当する事業を除く)については、第五種事業となっていました。

【24】 飲食店が、料理代金とは別に徴するサービス料、奉仕料、テーブルチャージ等の課税売上の事業区分を第五種事業としている。

 料理代金とは別建てで請求されるとしても、サービス料、奉仕料、部屋代、テーブルチャージ等は、飲食物の提供に係る対価の一部を構成するものと認められることから、第四種事業に該当する。

【25】 飲食店がお土産の販売に係る課税売上の事業区分を第四種事業としている。

 飲食店が土産用等として製造した商品を販売した場合は第三種事業、購入した商品を土産用として販売した場合は第一種又は第二種事業にそれぞれ該当する。(消基通13-2-8-2(注)1)

【26】 委託販売業を第五種事業としている。

 委託販売における受託者で、販売手数料(役務の提供の対価)を課税売上として経理しているときは、第四種事業に該当する。
 受託者については、日本標準産業分類(総務省)の大分類において「J卸売・小売」に区分されるが、「他の者から購入した商品」を販売する事業ではないことから、第一種事業及び第二種事業には該当しない。また、第三種事業である製造業及び第五種事業であるサービス業の範囲は、おおむね日本標準産業分類の大分類に掲げる分類を基礎として判定することとされている。
 したがって、委託販売業は、第一種から第三種事業及び第五種事業以外の事業として、第四種事業に該当する。 

【27】 簡易課税制度を選択しているものが、基準期間の課税売上が5,000万円超であるにもかかわらず、簡易課税制度を適用していた。

 「簡易課税選択届出書」を提出していても、基準期間の課税売上高が5,000万円以下である課税期間のみに簡易課税制度を適用します。
なお、簡易課税を選択すると2年間は取りやめることができません。

 

前々年(基準期間) 前年 その年(課税期間)

課税売上高 5,000万円以下

簡易課税の適用

課税売上高 5,000万円超

一般課税の適用

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です